【第八話】『旅人になった日』〜死に場所を探して11日間歩き続けたら、どんなものよりも大切な宝物を見付けた話〜
歩けば歩くほど変わっていく景色に、
ストーリーのある映画を見ているようで、
楽しかった。
ただ、歩くことが楽しかった。
山梨県突入…
山梨県上野原市。
山梨県に突入した。
高速道路の高架下、
長い上り坂だった。
ここで、第一村人に出逢う。
交通整理のおっちゃん。
バカでかい荷物を担いで、山の中からやってきた一人の青年を見て、
おっちゃんは、通行車を止め、僕のために道を空けてくれた。
そして、
「こっち側だったら歩道があるから!」
と、安全な道を教えてくれた。
とても優しい顔と声だった。
いい人だった。
今まで猛スピードで僕の命を轟かす
悪党ドライバー(決して悪党ではないが…)と戦って来たせいか、
人と話すのが久しぶりだったからか、
そのたった1つの行動と、たった1つの言葉に感動した。
「ありがとうございます!」
このおっちゃんに会うことはこの先無いだろう。
でも、間違いなく僕の記憶に刻まれた。
僕を助けてくれた人。
道中、たくさんの交通整備の人に助けられた。
中には無愛想な人もいたけれど。
交通整備って、なんかお金に困っている人がやっているイメージで、
正直あんまりいい仕事とは思ってなかったけど、
通行人や通行車の安全を常に考え、仕事をしている。
時に、道案内をし、時に、人助けをする。
誰かのために仕事をしている人は、
どんな仕事であってもカッコいいと思う。
「おっちゃん!ありがとう!」
僕も誰かのために…
手を差し伸べられる人になりたいよ。
著者の坂内 秀洋さんに人生相談を申込む
著者の坂内 秀洋さんにメッセージを送る
メッセージを送る
著者の方だけが読めます