【第九話】『旅の洗礼』〜死に場所を探して11日間歩き続けたら、どんなものよりも大切な宝物を見付けた話〜
「危険極まりない!」
「トンネル狭い!歩道無し!」
「人の通る場所じゃない!」
自転車の人でも危なくて、
そこの区間だけは電車を使うこともあるらしい…。
この笹子トンネルを迂回する方法は、
トンネル手前の笹子峠という山道を通るルートがある。
しかし、峠道はクネクネしているし、
アップダウンもあるため、あまり歩きたくはない。
僕は迷ったが、その時に決めることにした。
余裕があったら笹子峠。
先を急ぐようなら、トンネルを通る。
そして、その時が来た。
トンネルの少し手前、空き店舗の大きな駐車場で、先の道のりの準備をした。
ヘッドライトとペンライトを装着し、心を落ち着かせた。
相変わらず、雨は降り続いている。
ほぼ山の中のため、霧も出てきていた。
「笹子峠も危険だな…。」
雨の山道は、足下も悪い。
霧も出ているため、視界も悪いだろう。
「入り口まで行って、整備された道なら笹子峠を通ろう。」
そう決めて歩き出した。
笹子峠入り口…。
「何か閉鎖されてるー!!!」
歩行者は入れたのかもしれないが、
やはり、雨の山道は危険だ。
僕の中で、笹子峠の選択肢が消えた。
「トンネルを通るしかない!」
人が通れない訳ではない。
「きっと大丈夫!」
しかし…
内心超ビビっていた。
でも、このトンネルを通るしか、先には進めない。
トンネル入り口まで行く。
一応、歩行者に注意と書いてある。
しかし、歩行者なんて一人もいない。
何せ、人が通るような道ではないのだから。
思ったより交通量が多かった。
思ったよりというか、めちゃめちゃ多かった。
しかも、すげースピードで通り抜けていく。
そして、何と言っても狭い!
絶対事故るよ!このトンネル!!
左車線を歩くのは危険だ。
不意打ち100%地獄決定だ。
ヘッドライトがドライバーに見えるように、
右車線を歩こう。
右車線に移動し、ヘッドライトを点滅モードにした。
そして、覚悟を決め、
車が通り過ぎたタイミングでトンネル内に入った。
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