【第13話】『神様がくれたもの』〜死に場所を探して11日間歩き続けたら、どんなものよりも大切な宝物を見付けた話〜
だと思っていたのだ…。
「なかやまみち」
なんと平和そうな道だろう。
きっと自然溢れる穏やかな道なんだろう。
そう思っていた。
本気で。
無知って恐ろしい…。
「なかせんどう」
を知らない僕は、
「なかやまみち」
に向かう。
坂道は一気に厳しくなる。
流石に山を越えるだけある。
果てしなく上り坂だ。
いや、登り坂だ。
あんなに長い登り坂を登ったのは、今の今まで一度もない。
案の定、民家はあるのに、歩いている人なんて誰一人いなかった。
痛めた足にとって、少しの上り坂は、足の裏側が伸ばされて、
ストレッチをしているような感覚になるが、
長く、激しい登り坂は、さらに足を傷めつける他になかった。
筋肉細胞がブチブチ切れていくのが分かる。
一気に押し寄せる疲労。
せっかく諏訪湖で回復したのに、完全に負傷者になった。
思わず、
「あーっ!!!」
と声が出てしまうほどシンドかった。
しかし、止まることも、引き返すことも出来ない。
どんなに辛くても、前へ進むしかないのだ。
また更に坂を登る。
「わぁお!」
さっき通った諏訪湖があんなに遠くにある。
やはり随分と登ってきたようだ。
そして…
中山道入り口。
「おぉ、情緒のある道じゃないか!」
しかし、完全に山道。
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