【第13話】『神様がくれたもの』〜死に場所を探して11日間歩き続けたら、どんなものよりも大切な宝物を見付けた話〜
歴史のある道なんだな。
「なかせんどう」
そう書いてあった。
「なかやまみちじゃないのかー!」
僕は昔から歴史が嫌いだった。
父親は歴史が大好きで、事あるごとに歴史のうんちくを永遠と話し出す。
しかし僕は、どんなに話されても興味が持てなかった。
でも、歴史は知っておくべきだ。
というか、知らなければならないことがあるんだと思った。
昔の人が道を造った。
僕は今、その道を歩いている。
歴史が無ければ、今僕はここに来ることは出来てない。
ずっと昔からある道を、歩くことが出来ていることが嬉しく感じた。
先人たちに感謝をした。
そして今僕が歩いてきた恐怖の道。
それは江戸時代のこと、
塩尻に住む娘が、岡谷に住む恋人に逢いに、毎晩通った道らしい。
きっとその娘も恐い思いをしていたに違いない。
でも、この恐怖を打ち消す程の恋人に逢いたいという気持ち。
泣けてくる…。
恋する乙女の道だった。
「aiko」がピッタリの道だった。
こういう歴史があると知り、僕の中で恐怖の道が、恋の道に変わった。
しかし僕は、逢いたい人はいない。
やっぱり恐いのだ。
しばらく歩くと、大きな道にぶつかった。
どうやらここは、あの分岐点で分かれた塩尻峠の道のようだ。
その道は、大きく、ちゃんと舗装もされており、歩道も広い。
完全に「峠」の方が歩きやすそうだった…。
このまま旧中山道を通って行くと、
真っ暗な住宅街の様な道を入っていくことになる。
薄暗く、見るからに恐ろしい。
僕は、舗装された峠の道にルートを変更しようと思ったが、
Googlemapでナビると、どんなに検索し直しても、旧中山道を通らせるルートだった。
僕はその現実を受け止めたくなかった。
しかし、何度検索し直しても、旧中山道。
こりゃ、
「ここを通れ!」
と神様が言っているんだと思った。
覚悟を決め、旧中山道を行く。
歴史を感じさせる建物があちらこちらにある。
異様な雰囲気が漂っている。
真っ暗の中、古い建物があると、ものすごく恐い。
「◯◯跡」
みたいなのがたくさんある。
そして、僕は恐ろしいものを目にする…
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