【第13話】『神様がくれたもの』〜死に場所を探して11日間歩き続けたら、どんなものよりも大切な宝物を見付けた話〜

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半べそをかきながら、痛みをこらえ、とんでもない坂道を登り切った。





「やっと登り切った!」




頂上は案外、平和だった。


しかし、とんでもないものを発見した。





「熊出没注意!」



「やっぱり出んのかーいっ!!!」



本気で焦った。


本気でビビった。



こんな状態で熊に遭遇したら、100%終わりだ。



爪でガッサーやられて、生きたまま腹わた喰われて、

もがき苦しみながら死ぬことになる…。



そんな死に方は絶対に嫌だ!!



「急がなきゃ!」



時刻は、17時を回っている。


薄暗くなって来た。





しかし、この下り坂。


もうカニ歩きでしか下れない。



「熊出没注意…」



これが頭の中をグルグルと駆け巡っていた。


風で揺れる草木の音も、もはや恐怖でしかない。



熊は、音に敏感だという。



イヤホンを外し、スピーカーをMAXにして、前へ進んだ。


僕のiPodには、スピードラーニング的なやつが入っている。


そして、そのトラック数は半端ない。


シャッフルで再生すると、高確率で英会話が流れる。


「I'd like to go to Melbourne.」


的な声が、山の中で流れる。


実に地味だ。


あまりに熊が驚かなそうので、


それに続いて、僕は発音をした。


身体は動かないが、声だけはちゃんと出せる。


「I'd like to go to Melbourne.」



「Melbourne」の発音がなかなか難しい。



じゃないっ!!



絶対に熊にはMelbourneは効かないし、

こんな危機的状況で、英会話の発音をするなんて、全く意味がない。



テンションだけでも上げようと、この危機的状況を打破する曲を選んだ。


そして僕が選んだのは…


「aiko」



テンションが上がると言ったら、


「恋」だ!


恋と言ったら、


「aiko」だ!


恋する乙女の気持ちになったら、少しは気が紛れると思った。


急な坂を下り切ると、こんな看板があった。



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