【第13話】『神様がくれたもの』〜死に場所を探して11日間歩き続けたら、どんなものよりも大切な宝物を見付けた話〜
「◯◯首塚」
見間違いかもしれないが、僕にはそう見えた。
「ひぇーっ!!!」
一気に鳥肌が立った。
もう一度その文字を見る勇気が無いほどビビった。
神様は意地悪だ。
僕に、どれだけ恐怖を味合わせれば気が済むんだ…。
ツラいのは恐怖だけではない。
もう足が限界だった。
「ここで休ませてもらおう。」
ずっと歩いていると、こういう石碑が所々にある。
後日父親に聞いたところ、
「道祖神」
と言うらしい。
「道の神様」だ。
僕は、そんなことは知らなかったが、
石碑や神社など、何かの理由があってその場所にあるものには、
心の中で「お邪魔します。」「通らせてもらいます。」と挨拶をする。
横切る時は、お辞儀もする。
自分でもいつからそんな風になったか分からないが、
自然とこういうことをするようになっていた。
そして、今回はこの道祖神で休ませてもらうことにした。
足が痛くてしゃがむことが出来ないため、仕方なく道祖神に腰を掛けた。
「どうかお助け下さい。」
「無事に辿り着けるよう、見守って下さい。」
そう心の中で言い続けた。
5分ほど休ませてもらい、立ち上がった。
「あれ?」
信じられないほど、足が軽い。
こういうことを信じない人もいるが、本当に劇的に足が軽くなった。
僕は、
「ありがとうございます!」
と、道祖神にお辞儀をし、不思議な現象に戸惑いながらも再び歩き出した。
この出来事があってから、道祖神の前を通り過ぎる時は、
「守ってくれてありがとうございます!」
と心の中で唱えるようになった。
「神様は本当にいる。」
そう実感した不思議な出来事だった。
もしかしたら、この体験をさせるために、
どんなに検索し直してもこの道を通るように仕向けたのかもしれない。
そう思えて仕方がなかった。
しばらく歩くと、景色は普通の市街地になった。
この時時刻は19時を過ぎていた。
今日の宿は決まっていない。
この市街地で野宿は出来ない。
僕は、宿を探すことにした。
ドラッグストアがあったため、休憩がてら宿を検索した。
そして、宿を見つけた。
宿に着いたところで、満室だったら困る。
宿に電話をかけた。
「今日泊まりたいんですけど、部屋空いてますか?」
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