【第13話】『神様がくれたもの』〜死に場所を探して11日間歩き続けたら、どんなものよりも大切な宝物を見付けた話〜
時刻は16:40。
急がないと、あと1時間もすれば辺りは真っ暗になる。
山の中で真っ暗なんて、遭難だ。
絶望だ。
「よし!急ごう!」
そして僕は「なかやまみち」に入った。
大石。
珍しいから、写真を撮った。
しゃがんで、石全体が写るように角度を変えながら撮った。
「うわっ!!!」
長い登り坂のせいで、僕の足はもう力が入らなかった。
荷物の重さに耐えられなく、腰が抜けたように、斜面を転げた。
「バキバキッ!!」
「ぬぉー!!!」
「しまったーっ!!!!」
白状します。
この「旧中山道の大石」と書いた支柱。
折ったのは私です。
岡谷市のみなさん、申し訳ございません…
いや、きっと既に腐ってたよ。
すげぇ簡単に根元から折れたもん。
………。
「申し訳ございませんっ!!!!」
めっちゃ冷や汗をかきながら、
支柱を元のように戻し、(少し曲がったままだけど…)大石を離れた。
完全に山の中。
光が無く、薄暗い。
気温もグッと下がった気がする。
「鳥獣類特別保護地区」
なんて看板も立っている。
僕は焦った。
「絶対何か出る…」
そんな気配がプンプンした。
勾配は更にキツくなる。
「ピキッ」
今日も右足は終わりを告げた。
この森の中、十分に動けない状態になると、ものすごく恐怖を感じる。
「ギャー!ギャー!」
聞いたことのない獣の鳴き声がする。
「本当に何かいる…」
今、目の前に獣が現れたら、確実に僕は殺られる。
僕はめちゃくちゃ焦った。
一刻も早くこの山を抜け出したかった。
しかし、もう右足は動かない。
そして、勾配は凄まじくキツくなる。
「ギャー!ギャー!」
本気でちびりそうになった。
著者の坂内 秀洋さんに人生相談を申込む
著者の坂内 秀洋さんにメッセージを送る
メッセージを送る
著者の方だけが読めます