フツーの女子大生だった私の転落の始まりと波乱に満ちた半生の記録 第22話

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著者: Yoshida Maiko


彼はいわゆる不良で、よく隠れてタバコを吸ったり


深夜、遊んでいるところを補導されたり問題児だったのだ。




当時、購読していた漫画には決まって


不良っぽいイケメン男子が登場した。




彼もルックスがよかったので、女子から密かに想われていた。


また、人気漫画に登場するヒロインの相手役に似ているという噂があった。




私もその漫画を愛読していた。






「ねえ、どうなの?俺と付き合ってくれんの?」




少年の眼差しは、鋭く私の心をとらえていた。


少し照れ臭そうに、時折目を瞬かせていた。




思わず胸が高鳴った。


私は必死で母の言った言葉を思い出そうとした。




「 せっかく私が桃子をここまで立派に育てたんだからね

つまんない男に引っかからないでちょうだいよ」




私は少年を見据え、ごめん…


とだけ言った。




少年は急に赤くなり




「あっそ。何だよ。ブス!からかっただけだっつーの!」




と最低なセリフをぶつけ引き返して行った。




私は、へなへなとしゃがみこみ




よかった…と思った。






そうだ


私は、一流大学に入って…一流企業に入って


偏差値と年収の高い、いわゆる将来性のある男性と結婚するのだ。






3年後

私は、第一志望はダメだったが希望の国立大学に合格した。




育ちが良く、一流大学に通う彼氏もできた。




でも…



今にして思う…

私は彼の何が好きだったのだろう。




少なくともあの日のような胸の高鳴りはなかった。




結局、彼とは私がショーパブでアルバイトしたことが

別れるきっかけになった。


私は彼よりこの世界を選んだのだ。


あんな模範的な恋人は、そういないのに。




彼だったら私の心にドカドカと侵入してきて


そのまま居座ったりしないのに…




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