”すべてを捨てて駆け落ちした友達”と”友達がネトゲで知り合った彼女”と”僕”とが1K8畳で一緒に暮らすことになった話【親父とさよなら編】

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著者: 及川 拓夢
様々な気持ちを抑えながらその物体を買い戻すおうじ。
ん?なんで買い戻す必要があるんだろうか。
そんな日々を過ごしながら彼はコンビニの深夜バイトを始めました。
実家に戻って3ヶ月。
バイトを始めて2ヶ月。
そして、彼女のいる愛知に行くまで1ヶ月のことでした。

時々コンビニの廃棄の食品を貰ってきて地元の友人にふるまったりしていたそうな。
(廃棄を貰ってくることは業務上横領です。)
そんな余裕があるんだかないんだかよくわからないまま、
時間は進みます。


ーーー。


「親父に売られると嫌だから」

と、友人宅にPC一式と人には言えないようなものを預け、

「そいじゃ、一回行ってくるわ。」

ああ、行っちゃったな。
味噌カツが実は凝ってるのは味噌だけであって、
カツ自体は普通だからがっかりしないかなって思ったり、

彼女の親への挨拶に白い恋人かマルセイバターサンドのどちらがベストか、
なんて議論をする暇もなく。

彼は旅立っていきました。
名古屋空港、いや中部国際空港へ。

帰ってきたらどうすんのかな、
札幌で職探すのかな?
あいつもう家には戻れないし・・・。

まあ、僕たちで適当に家を回ってもらいながら、
職探しと家さがしすればいいか、
なんて僕たちの中でも自然と決まったりして、

彼がホテルで全裸の写真を当時全盛期のmi〇iにアップして、
友人全員をドン引きさせたりして、
(下な部分は謎の逆光でもちろん見えなくなっていました。)

彼は戻ってきました。
バックパック一つに手提げを持って。

「じ、じゃあひとまず寿司屋でミィーティングするか(苦笑い」
「そ、そうだな海鮮〇でいいかな?(苦笑い」

僕たちが苦笑いしてるのは別に彼の生き方を、
服装を馬鹿にしているわけではありません。
それはもう一つの”荷物”を見て・・・

もう一度言います。
彼は戻ってきました。
バックパック一つに手提げを持って。

そして、”旅行鞄を持った”彼女を連れて。

彼女を連れて?

ああ、こういう奴だった。
僕らはこの時思い出したのです。

この人の行動力を。
そしてそれに伴う苦労を僕たちが背負うことになるのだと言うことを。

ーーー。


少し愛知へ行く前の話をしましょう。
まず彼は親父に愛知に行くということを告げたのですが、
もちろんそれはケンカに発展するわけで。

「親父になんてわかんねぇよ!」
「もうお前に人生がどうとか言われる筋合いもないから。」
「2度と、2度と家になんて戻らないから!」

というやりとりがあったのかどうなのかは正直わかりませんが、
(今まで見たことがないほど怒っている彼に詳細を聞き出すなんてやりたくないです。)
親父と勘当したのは確かであって、
まず、彼は帰るべき家と肉親を失いました。
そのせいで彼には前に進む(彼女と会いに行くという選択肢)しか残っていないのです。

それをロックだとか、男らしいという言葉でかたずけていいのかどうなのか、
僕はまあこういう生き方もありだなって納得したり、

今現在隣の頬がひくついてる友人をどう説得するかに悩んだり。

赤マンボウ、シイラ、ウミヘビとおそらく偽装魚と言われる魚たち。
ここの回転寿司でも使われてるんだろうなぁと思ったり思わなかったり。

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