ハイスクール・ドロップアウト・トラベリング 高校さぼって旅にでた。

7 / 17 ページ

―寺山修司



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー








かまち美術館をあとにして


かまち美術館をあとにして、とりあえず東京にもどることにする。

神田の古本屋街がすごいと聞いたことがあったので、寺山修司の絶版本でも探しに行こうかなと思い立つ。

電車に揺られて東京へ。

JR山手線は都心の駅をぐるぐるまわり続けると知り、座席に座ったまま寝てしまうことにする。


しばらくして、山手線を何周かしたころ、駅員さんに起こされ終電で降りないといけなくなった。

東京駅で下車。






しばらく駅の近くを歩くが、大都会すぎて人気のない眠れそうな場所なんて全くなさそうだ。


もういいや。

逆に目立つところで寝ようと思い、駅前の高島屋デパートの前に寝ころぶ。

リュックサックが枕代わり。

若者が地べたで直接寝ているので注目度は抜群だ。

通りかかる人たちがみんなぼくを見て行く。

こんだけ注目されてれば、逆に安全だろう。

駅の建物とつながっているので、屋根があって雨もしのげるし、外よりも温かい。

我ながら大胆不敵な発想。

快適に眠りにつく。






「おい、君っ」

1時間ぐらい眠ったとき、肩を叩かれて目を覚ました。

警察官が3人いた。

「なにやってんだべ」

3人とも言葉がものすごく訛っている。


人生初めての補導だ。

近くの交番で取り調べを受ける。

「どうせタバコくらい持ってんだべ?」

かばんの中身を全部出せと言われ、ポケットの中も調べられる。

ねちっこくいろいろ聞かれる。

軽い犯罪者扱いにショックを受ける。


親にも電話された。

「親御さんですか?息子さんが野宿してるのはご存知でしょうか?」

「はい、知ってます」

母親があっさり答えて、あっさり無罪が証明された。






昨日のお昼を食べて以来、お金がないので何も食べていない。

腹ぺこだ。

カップラーメンくらいお巡りさんがおごってくれないかなと期待していたけど叶わなかった。

交番の中で寝させてくれないかなとも期待していたけど、それもダメだった。

でも

「交番の前で野宿したらいい」

と言ってくれたので、お言葉に甘えて、交番前の道路に寝っころがる。


今夜のぼくは世界一安全なホームレスだ。






旅、6日目


東京駅から神田の古書店街へ歩いて向かうことにする。

久しぶりに方位磁石に従って歩いていたら、完全に道に迷った。






昼前に公園で休憩することにした。

一昨日の昼から何も食べていない。

お腹がすき過ぎて、さらに歩きすぎて疲れ果てた。


とりあえず、昼寝しようと横になる。


近くに小学校があり、チャイムの音が聞こえる。

高校のみんなは、今ごろ何をしているかなぁとぼんやりと思う。


少し離れたところでホームレスのおっちゃんたちがビール片手に酒盛りをしている。

まだ午前中なのに。

ものすごく笑ってるし、仲が良さそう。

東京のホームレスのおじさんたちは豊かで楽しそうだなあと思いながら、睡魔に襲われウトウトする。






「おにいちゃん」

「おにいちゃん」

声で目を覚ますと、目の前にさっき宴会をしていたおっちゃんが。

「大丈夫か?」

「大丈夫です、ちょっと眠くて」

と言うと、

「おにいちゃん、これでジュースでも飲んで」

10円玉や50円玉の小銭がいっぱいで、手に重みをずっしりと感じた。

まさかのお恵み。


「元気出してな」

と言うとおっちゃんたちはどこかへ帰っていった。

200円ぐらいあった。

そのお金で買った自動販売機のポカリスエット。

著者の成瀬 望さんに人生相談を申込む

著者の成瀬 望さんにメッセージを送る

メッセージを送る

著者の方だけが読めます

みんなの読んで良かった!

STORYS.JPは、人生のヒントが得られる ライフストーリー共有プラットホームです。