Logo

ここは、人生の物語に出会う場所。

「飛沫防止板を通じて世の中に貢献しよう!!」クリーニング機器メーカー三幸社が異業種に挑戦した裏話

著者: 株式会社三幸社

クリーニング工場を対象に専門的な機械を作っている株式会社三幸社(所在地:東京都八王子市、代表取締役:打越裕介)は6月1日にコロナウィルス対策として「お店deマスク」、6月5日に「オフィスdeマスク」という飛沫防止板を新発売いたしました。

××


三幸社は普段、クリーニング店の工場で仕上げる機械を生産・販売しているメーカーで日本をはじめ北米、ヨーロッパ、オセアニア、アジア、中東と世界の先進国を中心に輸出している会社です。

株式会社三幸社 本社(所在地:東京都八王子市)


クリーニング業界ではワイシャツの自動仕上げ機において世界一のシェアをもっていることが有名で、今までクリーニング業界以外の製品を製造も販売もした事が全くありませんでした。

ではなぜ、「飛沫防止板」を発売することになったのか。

今回は、副社長兼営業本部長を務めております、打越圭介が三幸社が異業種に挑戦したお話をお伝えしたいと思います。


(取締役副社長 兼 営業本部長 打越圭介)


社長の一声で始まった商品開発。しかし社員は否定的だった。

9年前の東日本大震災では国内の売上は上がらなかったものの欧米の売上は多少確保されていました。

しかし、今回のインパクトは世界中に関わり、コロナウィルスで全く機械が売れなくなってしまいました。

通常取引しているほぼすべての国の経済が止まったことで、三幸社も4月中旬から工場を完全閉鎖せざるを得ない状況となりました。


4月13日、社長が「飛沫防止板でも作ってみようよ!」と切り出してきました。しかし私を始め全ての社員が否定的な反応を示しました。すると社長は「だったら何をやっていくの?何もやらずにいるつもりか?」という言葉から「やってみるか・・・」というスタートでした。


◆スピードを求めすぎた結果、使い勝手の悪さが際立った。

翌日、早速一つの飛沫防止板が出来ました。我々の想定はクリーニング店の店舗で使って もらうイメージでした。

寸法は幅980mm、高さは1,000mm、自立型のフレームで素材はステンレス、フィルムはアクリルではなくビニールで難燃性の0.3mmを採用、なかなか良い感じでした。


(試作第一号。我々はこれでもなかなかと思ったのですが・・・)


早速私の知り合いのクリーニング店に持って行き、試してもらいました。しかし反応は最悪でした。「まるで牢屋みたい」とか「枠が狭すぎてカウンターが有効活用出来ない」と。


この飛沫防止板の開発の中心メンバーである生産技術課の内田啓介課長。

(生産技術課 内田啓介課長)


当時の開発を彼はこのように語っています。

開発第一弾で重視したのは、開発スピードです。思い描いた図面をそれなりのスピードで作り出せる我社の設備は、金属フレームを切り出すレーザー切断機と飛沫防止フィルムを切り出す自動切断機でした。思った通り、出来上がりのスピードも出来栄えもそれなりでしたが、問題点とし挙がったのが、組み立て勝手の悪さと製品の武骨さです。


私は肩を落として帰って来たのですが、事務所では既に多くのクリーニング店から注文を頂いておりました。

この反響がなければ我々の現在の活動はなかったと言えるでしょう。このときに全国からおおよそ200台の注文を頂いたのです。

更に私の知り合いのゴルフ練習場の社長様からも注文を頂きました。これが異業種への最初の販売でした。理由は「早く何らかの対応をしないとお店運営ができない!」と思っていたようです。

我々はこの飛沫防止板を「お店deマスク」と名付けて今後の活動をすることになりました。無塗装で15,000円という価格設定でスタートいたしました。


(当時のパンフレット。手作り感満載ではありますが、素早く作りました)


(香川県坂出市の多田羅クリーニング様。すぐにご購入頂いたお客様の一社です。綺麗に設置していただいております)


♦お客様の声が次の商品開発を後押ししてくれた

数日後、三幸社の社屋をメンテナンスしている外装業者から新しいオファーがありました。この会社は業界外の会社として初めて「お店deマスク」の代理店になって活動しておりました。その社長様から「会議用の飛沫防止板を作る事はできないか?」とオファーがありました。作ってみよう、という事になり制作してみました。

同時に組み立てづらさが大きな問題になっていました。そこでこの開発と共に組み立てやすさを考えた設計を考える事となりました。


(製販一体となって、連日試作の検証に明け暮れました。)


生産技術課の内田課長は当時の対策を以下のように話しております。

開発第二弾で重視したのが、組み立て勝手です。梱包サイズや輸送費をおさえるため、お客様先で組み立てしていただくこととなりましたが、構造は金属フレームと飛沫防止フィルムをネジで共締めする構造で組み立て勝手が悪く、再設計を行いました。

改善内容としては、金属フレーム同士を予め組んだ際に自立できるよう“ハメコミ”構造とすることで、フィルム取り付け時の組み立て勝手は向上しました。しかし、武骨さは残るままとなりました。」


実際にできあがった製品をみたら最初のモデルより格好良くなりました。

理由はフレームをまず組んでからビニールを張るのでビニールがピンと伸びやすくなったのです。


早速、外装業者の社長様に持って行ったらすぐに客先に持って行ってくれました。翌日、すぐに電話が鳴りました。「お客様が「すごい、格好いいじゃん!これだったらアマゾンや楽天でも売れると思うよ!」と言っていたよ」というのです。

我々はこのジャンルもいける!と思い、これを「オフィスdeマスク」と名付けて商品化する事としました。無塗装で13,000円、塗装は17,000円でのご提供となりました。

(改造したバージョン2のブラックとホワイト。フィルムが張ってその先がよく見えます)


♦価格が一番のポイント。再設計へ!

この時点でゴールデンウィークに入り、工場の活動はここまでとなりました。

営業は引き続き活動を続けて、もし予想以上にオーダーが入ってくるようだったらゴールデンウィーク返上で工場を開けて稼働しよう、という事になりました。

しかし希望的予想とは反対に全く動かなくなりました。一番の原因は価格です。お店deマスクの無塗装モデルが15,000円だったのですが、高い!という意見がとても多かったのです。ゴールデンウィーク明け初日から原価低減活動のスタートとなりました。早速翌日にプロトタイプが出来ました。開発のポイントは、


1.部品点数を少なくすること

2.ビニールがもっと張りやすくなること

3.もっとスタイリッシュにする事


でした。



(上の写真が新モデル。下の写真が旧モデル。フレームの太さ、ネジの個数など全くの別物に生まれ変わりました)


社長も一緒になって色々な改善を図ったのですが、設計技術課の内田課長がその当時の事をこのように語っています。

組立て勝手はそのままに武骨さの排除を重視しました。武骨さの要因となったのが、フレームすべてを板金加工としたことにありました。改善するため、梁部材を丸棒にし、板金の柱で挟み込む構造としました。この構造にすることで圧迫感が減り、かつ構造的にフィルムを上下に張ることのできるものとなりました。フィルムの末端をストロー状にし、その中に丸棒を通すことにしました。ストロー状にするために様々な案が出ましたが最終的に我社の設備を生かした縫製となりました。この構造にすることで、板金加工、機械加工、裁断縫製と主な部門に製造を分散し、納期短縮と製造原価を抑えました。」


お値段もお店deマスクを9,980円、オフィスでマスクを8,980円まで下げることが出来るようになりました。


♦会社全体の取り組みを社員全員が理解して行動したことが誇り

「お店deマスク」と「オフィスdeマスク」が1ヶ月でここまで進化したのも顧客の声を聞くこと、それを素早く形にする事、そしてなによりも積極的に関わってくれた内田課長を始め、会社の社員一同がいたからこそ出来たことだと思います。


執行役員で工場担当の渡辺次郎役員は以下のように当時を思い出しています。

(執行役員 渡辺次郎役員)


「正直、『社長は何を考えているのか』全く乗り気はなかったことを覚えています。しかも社長、副社長の積極的というかなんというか・・・、情報収集のおかげで毎日試作製作におわれ現場は大変だったと思います(笑)。


しかしこの毎日が「お店deマスク」シリーズの商品化がスピーディにできた要因だと思います。

だんだんと全体をまとめることが必要だと考え部門を超えた指示徹底を図ることにしました。新型コロナウィルス対策の中で三幸社が取組んでいることに社員全員が理解して積極的に活動していることに誇りに思います。」



もっと世の中が安全に経済活動を行えるようになっていくために

今後しばらくコロナと共存していく必要があります。その場しのぎの飛沫防止より、恒久的な対策を取ることでお客様に「この会社はコロナ対策、しっかりされているな」と感じていただく事が重要になってきます。ビニールも難燃性の安心感やスタッフの方のメンテナンス(拭き掃除など)の手間を考えれば大きな出費にはならないはずです。

おかげさまで、少しずつ認知も進んできて今まで全くお付き合いのない多くの会社からお問い合わせを頂くようになってきております。これからも多くのお客様のご要望にできるだけ応えていきたいと考えております。

是非、三幸社のお店deマスクシリーズを採用していただき、店舗やオフィスで快適なお仕事をしていただきたいと思います。



会社概要

株式会社 三幸社

所在地:〒193-0815 東京都八王子市叶谷町988

TEL:042-621-1181

FAX:042-620-0751

URL:http://www.sankosha-mfg.com


本件に関するお問い合わせ

営業本部:取締役副社長兼営業本部長 打越圭介まで

k-uchikoshi@sankosha-mfg.com




行動者ストーリー詳細へ
PR TIMES STORYトップへ
STORYS.JPは、人生のヒントが得られる ライフストーリー共有プラットホームです。

この他の企業のストーリー

2min read
株式会社 セモス
スマトラサンバル 商品化までのストーリー
スマトラサンバル 商品化までのストーリー スマトラサンバル 商品化までのストーリー㈱セモス プ...
9min read
株式会社フォレスタ
きっかけは、FMC(固定・携帯電話の融合)を世に広めたいという思いから。「テレワープ」サービスの開発ストーリー
きっかけは、FMC(固定・携帯電話の融合)を世に広めたいという思いから。「テレワープ」サービス...
7min read
大日本図書株式会社
100匹のねこ、それぞれに考えられた名前と個性、自由に想像できるストーリーが魅力の能動的な絵本「100ぴきかぞく」シリーズの誕生秘話
100匹のねこ、それぞれに考えられた名前と個性、自由に想像できるストーリーが魅力の能動的な絵本...
6min read
株式会社LIGO
運送業の取り組みをPRするメディア「ハコプロ」をスタート ~ドライバーの人材不足の課題を解決~
運送業の取り組みをPRするメディア「ハコプロ」をスタート ~ドライバーの人材不足の課題を解決~...
10min read
株式会社ファーストペンギン
BBQの新定番。岐阜県飛騨市産広葉樹を活用したウッドプランク『HIDA WOOD PLANK』誕生の裏側。
BBQの新定番。岐阜県飛騨市産広葉樹を活用したウッドプランク『HIDA WOOD PLANK』...
5min read
RUN.EDGE株式会社
【社員インタビュー】コロナ禍でビジネスエンジニアが向き合ったスポーツ向けプロダクトの価値とは?
【社員インタビュー】コロナ禍でビジネスエンジニアが向き合ったスポーツ向けプロダクトの価値とは?...
5min read
荒川技研工業株式会社
ワイヤーシステム「アラカワグリップ」が世界の美術館やショーウィンドウで使われるまで
ワイヤーシステム「アラカワグリップ」が世界の美術館やショーウィンドウで使われるまで 荒川技研工...
5min read
株式会社カネボウ化粧品
開発担当者は男性。ブランドを代表する7年連続売上No.1*¹酵素洗顔シリーズから男性が気になる肌悩みにもアプローチした"ブラック"アイテムが誕生
開発担当者は男性。ブランドを代表する7年連続売上No.1*¹酵素洗顔シリーズから男性が気になる...
3min read
株式会社キャタル
キャタルが1年前に描いた夢。試行錯誤して行ってきた取り組みの結果
キャタルが1年前に描いた夢。試行錯誤して行ってきた取り組みの結果 「英語を身につけることで、夢...
6min read
株式会社湖池屋
湖池屋が「日本のテロワールでつくる究極のポテトチップス」に挑戦する理由。「KOIKEYA FARM」プロジェクトを始動 ~じゃがいも調達・農家の協力編~
湖池屋が「日本のテロワールでつくる究極のポテトチップス」に挑戦する理由。「KOIKEYA FA...