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「私はこの商品が絶対欲しい!」 商品開発未経験の女性社員はまったく新しいパスタ調理商品をいかにして生み出したか?

著者: 株式会社永谷園ホールディングス


2023年3月13日(月)、永谷園よりレンジ1つでパスタができる「パキット」が新発売されました。

それに先立ち、昨年12月、発売前にもかかわらず日本食糧新聞社制定の「第36回新技術・食品開発賞」を受賞し、業界内で話題を呼びました。

その斬新なアイデアが評価された「パキット」を発案・開発したのは、なんと商品開発未経験の社員!

商品開発を担当した商品開発戦略部・三田氏と、品質開発を担当した研究開発部・篠原氏、営業本部広域流通部・山野氏へのインタビューを交えながら、「パキット」開発秘話をお伝えします。


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「営業出身の三田」がまたおもしろいことを考えた

──三田さんは「パキット」が商品開発デビューの商品だそうですが、その前はどのような仕事をしていたのでしょうか。


三田

入社から5年間は名古屋で営業をしていました。その後本社に移り、同じく営業部門で販売戦略を立案する業務に携わっていました。商品開発部に異動するまではずっと営業畑です。


山野

最初の配属先の名古屋支店のころから、アグレッシブで前向きな人というイメージでした。新人の頃から、三田さんが手がけた営業の成功事例はたびたび全国で共有されていたので、「名古屋の三田って何者!?」と皆が注目していたと思います。


──そんな三田さんですが、商品開発部という違う畑に異動と聞いて、どう思いました?


三田

メーカーに入ったからには、やはり商品開発をやってみたいという気持ちはありました。異動後、はじめのころは「こんな商品あったらいいね」と、いい意味で遊ぶように案を出していましたが、やがて、生活の延長線上にあるような商品を作りたいと考えるようになりました。


──パキットもその発想から生まれたのですか。


三田

そうですね。私自身、仕事で疲れて家に帰ってくると、晩御飯を作る気力がなくて「お酒とお菓子だけで済ませちゃおうかな」と考えたりもします。また、私はパスタが好きなのですが、パスタって鍋を二つ使うので意外と作るのが面倒臭い。なので、準備や後片付けのことを考えると、やはり自分で作るのが億劫になってしまうんですよね。

そうした経験から、私以外にもこんな気持ちを抱えている人は結構いるのではないかと思い至り、「ゆでないパスタ」があったら喜んで頂けるかも!と思いついたのがそもそものきっかけです。もちろん、自分自身こういう商品が絶対ほしいなと感じていました。


――たしかに、働く人たちにとっては共感を得られそうですね。社内でも共感する人は多そうなので、幸先の良いスタートを切れたのではないですか?


三田

社内調査では使ってみたいという声が続々と出てきたので、これはいけるかなと。

ただ、共感されつつも商品開発に慣れているメンバーからは「着眼点はいいけれど、商品化は難しい」とも言われていたので、悔しかったですね。実際、試作をしてみても、麺が焦げるなど課題がすぐにみえてきました。


篠原

実は過去にも、レンジでパスタ調理をする商品開発にチャレンジしたことがあったんです。しかしその時は、麺のもどりやソースの味付けの課題をクリアできず、このようなパスタ商品は開発が難しいという判断が下されていたんです。


── 一度開発を断念されていた商品というのはハードルが高いですね。


三田

そうですね。でも私はそういう反対意見があると逆に燃えるタイプなので、「やってやるぜ!」という気持ちの方が強かったです。


── そこからどうやって追い風にしていったのでしょうか。


三田

とにかく、自分のできることは全部やろうと。たとえば、電子レンジでゆであがる最適な水分量を探したり、味付けの研究のために都内の美味しいパスタを朝昼晩100軒以上食べ歩いたり。もちろん市販されているパスタソースは一通り食べたと思います。そうした生活を数ヶ月続け、やっと商品化提案まで漕ぎ着けることができました。


──提案したときの反応はいかがでしたか。


三田

難しいことに取り組んでいるという事情を会社の皆が汲んでくださり、「これが商品化できたらおもしろい。難易度が高いのは重々承知。だからこそ、諦めずにじっくり検討して欲しい」と、期待のこもった言葉ももらえました。「よし、これならがんばろう!」と勇気が湧きましたね。


篠原

私たちは「仕事は楽しみながら、アグレッシブに挑戦し、ポジティブ思考で取り組む」という姿勢を大切にしています。三田さんの取り組み方は、正にこの考え方を体現している。だから、品質開発を担当する私としても三田の熱意に応えようと全力で取り組みました。

次々に生じる想定外の課題

――三田さんの姿勢、熱意、行動が、社内の人々を動かすきっかけになっていったんですね。そうして社内を巻き込み、いよいよ商品化に向けて本格始動となりました。レンジだけでパスタ調理をする商品の開発というのは実際、難しかったのでしょうか。


篠原

難しかったですね。特に、レンジの機種によって麺のゆであがりにばらつきが出てしまうのが一番の悩みの種でした。同じ600Wでもゆであがり方が全然違うんですよ。また、ソースと一緒にパスタをゆでる設計で商品開発をしていたので、最適な水の量はもちろん、パスタのとろみ具合や油の量など、各要素の最適な組み合わせを見つけることが本当に難しかったです。


三田

篠原さんと一緒に電子レンジを複数台用意し、試作回数は優に1000回は超えました。


篠原

試作を重ねれば重ねるほど想定外の課題が見つかり、進んでは戻っての繰り返し。他社メーカーが今まで類似商品を出さなかった理由がよくわかりました。先ほどお話しした通り、レンジの機種によってゆであがり方に差が出てしまうことが最大の悩みで、とにかく一定のゆであがりにならない。なので、同じレンジで3回、同じ結果を出したら合格という基準をまず作り、ここをクリアした後に別のレンジでさらに試し、それを三田さんに食べてもらうという試作工程を何度も繰り返しました。

発想の転換が突破のカギ

――そうした難題をどのような工夫でもって突破していったのでしょうか。


篠原

開発期限まであと1週間、というところまで迫ったある日、初心に戻る気持ちで、改めてパスタ調理に関する情報を一から調べ直してみたんです。すると、その時たまたま目に入ったのが「蒸らす」という工程。これまでレンジで加熱することにばかりにフォーカスしていたので、蒸らすというのは全く頭になかった発想でした。もしかしたらこの蒸らし工程を使えばうまくいくかもしれない。藁にもすがる思いで、レンジでチンしたあとにしばらく庫内で蒸らす、という工程を加えたところ、それが見事にうまくいったんです。


三田

できあがった試作品を試食してみたら、私が思い描いていた見事なアルデンテ食感。感動しました。時間的にもう商品化は無理なのではないか、という空気が立ち込めていたなかでの成功だったので、篠原さんはじめ、品質開発の皆さんの努力には本当に頭が下がります。


篠原

ずっと失敗続きだったので、蒸らし工程を加え「これでいけるんじゃないか」と思っていた一方で、三田さんにいざ試食してもらう段階になると正直、不安はぬぐい切れませんでした。なので、三田さんに「これでいいんじゃないでしょうか!」とOKをもらえた時は心底ほっとしました。

商品への驚きと期待

――商品ができあがってからの社内外の反響はどうでしたか。


山野

取引先の小売店さんのなかには、見たことのないパスタ商品にびっくりされる方もいらっしゃいましたし、商品コンセプト自体にも驚きの声が多かったです。取引先には三田が直接出向いて熱くプレゼンする機会もあり、好感を持ってくださる小売店様が増えてきました。また、他の営業メンバーも、三田のこの商品にかける想いを知っているので、おのずと営業活動に熱が入り、積極的に売り込んでいきました。



三田

取引先の方からは、「久々に永谷園らしい商品だね」というお言葉をいただいたことが本当に嬉しかったですね。「ユニーク」だったり、お客様に「なるほど!おいしい」「この手があったか!」と思ってもらえるような商品が永谷園らしい商品。こうした独創性のある商品開発を永谷園は大事にしているので、今回、自分が永谷園らしい商品を出せたことを誇らしく感じています。


篠原

永谷園らしさを一言で表しているのが、企業理念である「味ひとすじ」。この言葉には「今までにない」「お客様になるほどおいしいと感じてもらえる」「他社にはマネが出来ない」、そういう商品を出し続ける、という決意が込められているんです。ですので、「味ひとすじ」になっているかどうか、いつも心にとめて商品開発に臨んでいます。


――「パキット」はどのような人に手に取ってもらいたいですか。


三田 

仕事、家事、子育てと、毎日やる事盛りだくさんの女性の皆さんに寄り添える商品になってほしいと思っています。自分一人のごはんくらいはラクに、でもおいしいものを食べて気分を上げたい、そんな時に「パキット」を手に取ってもらえると嬉しいです。

また、レンジに入れるだけなので、その間、別の作業もできちゃいます。そういったタイムパフォーマンスもある商品なんです。

また、これからも既存のカテゴリーにこだわり過ぎることなく、皆さんの生活に役立つ商品を出していきたいです。


一社員の情熱から生まれた新商品「パキット」は、さまざまな人をポジティブな力で巻き込んで世に送り出された商品でした。これまでも時代ごとに変わる食卓のニーズに寄り添い、ありそうでなかったユニークな商品を生み出してきた永谷園。

この「パキット」が今日もだれかの食卓を彩り、食事の時間を通して少しでも豊かな生活を過ごすことができるよう期待しています。



【開発秘話は動画でもご覧いただけます】

https://prtimes.jp/tv/detail/2779

【パキットブランドサイト】

https://www.nagatanien.co.jp/brand/pakitto/




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