日本の教育ビジネスを変えていきたい。約40年前にワープロ教室からスタートした大阪の教育企業「ワークアカデミー」の過去・現在・未来
ワークアカデミーは、関西・関東にて大学・学生・社会人支援を行う教育企業です。2022年11月に創立40周年を迎え、創業以来「夢と勇気が人を育てる」という経営理念のもと、大学授業運営、資格講座運営、ビジネススクール、企業研修等、幅広い教育サービスを展開し、社会で活躍する人材育成を実施しています。2023年に経済産業省「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」の補助事業者に採択され、キャリア相談、リスキリング提供、転職までの一体的支援を開始しました。このストーリーでは、ワークアカデミーの40年の歩み、そして新しい取り組みをお伝えします。
創業のきっかけは、スペイン留学。「社会から必要とされる生き方」を志しワークアカデミーを設立
創業者・大石博雄は、20代にスペインへ留学し、マドリードを拠点に世界74か国を旅しました。そこで多様な人種・文化を経験し、「社会から必要とされる生き方をしよう」という自分の仕事の軸を見つけ、経営者になることを決めました。日本へ帰国後、専門学校の創業・経営にかかわり、自ら教壇に立ち、学生の就職支援を行った実務経験を通して、日本の教育ビジネスを変えていきたいという思いを強く持つようになりました。時代は昭和末期、すでに日本の教育は固定化されており、変化を嫌う傾向にありました。そんな日本の社会に新しい風を送りたいと考え、手掛けようと思ったのが、ワープロという当時最先端のツールを武器にした教育でした。自分の人生をかけて「教育業」を行っていくと決め、ワークアカデミーを1982年11月に創業しました。
発展途上国で目にしたタイピストという職業。富士通の協力を得て、オアシスワープロスクールが誕生
大石が海外留学した当時、アジアとアフリカは今以上に貧しい時代で、現地を見て回っているうちに、貧困を解決するには教育、特に「女性の教育」が大事なのではないか、ということに気づきました。当時、世界中で女性には仕事らしい仕事がありませんでしたが、発展途上国では「英文タイプできる女性求む」という求人票が数多くありました。手書きの文字をタイプライターに打ち込み、印字する「タイピスト」という職種は、女性の仕事とされており、発展途上国の女性たちがその職につくことが多かったのです。
日本にタイピスト養成の考え方を取り入れられないかと思い、大石が目を付けたのが当時日本の社会で生まれたばかりのワードプロセッサー(通称ワープロ)でした。帰国後、神戸の専門学校にいた頃、いち早く学校の教育課程にワープロの授業を取り入れました。専門学校にワープロの授業を取り入れたのは、おそらくその専門学校が関西初だったと思います。
女性をターゲットとしたワープロスクールを立ち上げたいと考えていた大石がワークアカデミーを創業する際に、富士通株式会社(以下富士通)が声をかけてくれました。当時、富士通が販売を始めたのが、OASYS(オアシス)というワープロでした。ワープロ初心者でも使えるように教えてくれる教室を作ることになり、ワークアカデミーは富士通の全面バックアップを受け、「オアシスワープロスクール」という教室を立ち上げました。これは富士通公認の初めてのワープロスクールになります。インストラクターもテキストもなく、まっさらな状態から作り上げていきました。それが今も続く当社のスクール事業「資格とキャリアのスクールnoa」の始まりです。
ワープロを教えるインストラクター養成講座がスタート。教材開発のために立ち上げた「noa出版」
スクールはその後のワープロブームの後押しもあり、生徒が順調に増えていきました。すると必要になってくるのがインストラクターです。今でこそパソコンインストラクターというのは珍しい仕事ではありませんが、それまではワープロやパソコンの使い方を教えてくれる先生はいませんでした。そこで、ワープロを一般の人たちに分かりやすく伝えるプロ、ワープロインストラクターを養成していったのです。これが、日本で初めてのインストラクター養成講座です。このワープロインストラクターは、女性が就きやすい職として後に社会に定着していきました。
スクールの教材も自分達で用意しなくてはなりません。ワープロの扱い方を教えるためのマニュアルはありますが、マニュアルは技術書のような専門的な内容で、初めてワープロに触れる人には難解だったのです。ワープロ教育というもの自体が今までにないものだったので、教材もありませんから、授業のテキストを作るためにワークアカデミーの内部に出版事業部を立ち上げました。それが現在の「noa出版」です。現在ではワープロやパソコン関連だけではなく、さまざまな教育に関するテキストを出版する事業部に育ち、日本全国の大学・短大・専門学校・職業訓練校・高校等でテキストが活用されています。このようにして、当社の基礎となる部分ができていきました。
大学にも広がっていくワープロ教育。教育の内容でナンバーワンを目指す
その後、私達の教育の場はワープロスクールだけでなく、大学にも広がっていきました。当初、コンピューターは専門家が扱う特別な機械でした。それを家庭用の、だれでもが扱えるようにしたものがご存じパーソナルコンピューター、パソコンです。大学や専門学校などの教育現場にはワープロやパソコンがまだ入っていない状態でした。ワークアカデミーからインストラクターを派遣して学生と教職員に向けて使い方を教えるようになりました。これが大学の授業支援のスタートでした。
ワープロブーム、パソコンブームの最中で、この時代、雨後の筍のようにたくさんのスクールが乱立しました。そして、多くのパソコンスクールは全国に展開していきました。実は、私達も全国展開するように色々な企業から声を掛けられたこともありましたが、お断りしました。面の拡大を狙うよりも、もっと教育の内容でナンバーワンを目指したいと考えていました。私達の教育の提供先には大学などもあり、教育の質を落とすことはできません。パソコンやワープロの使い方を教えるだけのノウハウ教育はしたくありませんでした。その人の人生に役立つ深い教育をしたいと考えていましたので、広範囲に規模を広げすぎるのはやめておこうと判断したのです。結局、しばらくするとパソコンブームも下火になりました。
大学内で「資格サポートセンター」を運営開始。現在では、関西・関東圏の20大学で導入
一時的なワープロブームやパソコンブームの上に胡坐をかくことなく、私達は時代の最先端をいく独自の教育を貫いてきました。その姿勢に何校かの大学が興味を持ってくださいました。元々パソコン教育やテキスト出版で大学と接点があり、声をかけてもらうことができたのです。ちょうど日本の18歳人口が減少し、大学も生き残りのために進化していかなくてはならない時代に入っていました。他の大学との差別化のために、以前からの大学教育に民間教育の力をプラスしていこう、という考えです。
現代日本において、大学は社会への入り口といえ、大学を卒業するほとんどの学生は社会に出ていくことになります。そんな大学生にとって、就職活動は最大のテーマです。就活を真面目に考える学生はダブルスクールに通うようになり、授業料で頭を痛める学生も増えてきました。そこで大学と一緒に作り上げたのが、ダブルスクールを学内で運営するという画期的な「資格サポートセンター」です。
資格サポートセンターでは、社会人スキルや就活に役立つ資格取得の授業を運営し、ワークアカデミーのスタッフが学生の相談にのったり、資格取得に関するアドバイスを行ったりしています。大学内の教室などを利用し、資格の勉強をできるようにすれば、授業料を抑えることができますし、その授業を運営するのは当社の社員&講師です。学生にとっては低価格で勉強できる上に、実際に社会人が働く姿を間近に見て、社会に出るポジティブなイメージを持てます。また、学内に施設を置くことで、大学の方も学生のキャリアの勉強や就活の動きを把握することができます。資格サポートセンターは学生のキャリア教育に効果があると評判を呼び、現在では関西・関東圏の20大学で導入していただいています。
すでにあるサービスに固執せず新しい技術を取り入れ、常に時代に合わせて進化していく
なぜ私達が、このように独自の教育を続けてくることができたのかというと、「親切・丁寧・分かりやすい」の軸からぶれずに、しかし時代に合わせて進化していったことが大きいと思います。例えば、ワープロからパソコンへ技術が移行していった時代、「ワープロで充分食っていけるから」とパソコンの技術を取り入れない人達もいましたが、私達はいち早く取り入れていきました。また、時代の主流がパソコンになってからも、パソコンに執着せず、社会人基礎力や基礎学力の教育、データサイエンス教育にも力をいれていきました。
2022年より、noa+(ノアプラス)というサービスを始めました。これは、大学やスクールを卒業しても、学びを続けていってもらうための会員制のサービスです。学習プログラムやキャリアサポートなど、生涯自分を高めていきたい人を応援する学びの総合プラットフォームになっています。このnoa+も、私達が「親切・丁寧・分かりやすい」を追求しつつ時代の流れに合わせて、その時代に必要な学びを提供するための取り組みですので、多くの人に喜んでいただけるのではと楽しみにしています。
主体性や探求力をどのように高めるか。Web3.0を活用したビジコンやリスキリング講座など、新しいプロジェクトを積極的に展開
近年、「主体性」「探究力」といったキーワードが注目されています。学びはますます個別化され、具体的なスキルやアウトプットが重視されていきます。また、知識技能の習得方法も、単なる受容から参加型、文脈依存型へとシフトしています。この変化の背後には、学習の究極の目標が、一人ひとりが社会やコミュニティ内で自分自身のアイデンティティを明確にし、それに沿った生き方を選択できるようにすることにあると私達は考えています。
このような状況の中で、今後どのような方向性を見据え、大学、企業、学生、そして社会人にとって有益な活動をどう展開していくかが、当社にとって重要な課題でした。その課題に対する具体的な取り組みとして、新しいプロジェクト活動を開始しています。
ブロックチェーン技術を使った「learn to earn」の実証実験への参画、Web3.0を活用したビジネスアイデアコンテスト「P-1グランプリ」の開催など、Web3.0に関連する活動。また、大阪府「OSAKA若者リ・スキリング・パートナーズ」として、未就職者の就職支援も実施。さらに、武庫川女子大学のリカレント教育「MUKOnoa+(ムコノアプラス)」に、パートナー企業として参画し、IT・DXを中心とするリスキリング講座の提供を行っています。武庫川女子大学・りそな銀行と三者協定を結び、成長分野における再就職のサポートも全面的に展開。デジタルスキルやキャリアマインドを磨きたいと望む個々の学生やビジネスパーソンと、採用意欲が高く今後の成長を目指す中堅・中小企業を効果的に繋げ、地域労働市場の活性化を促進しています。
自分らしく社会で活躍するために。学びの機会を提供し続けていきたい
2023年10月には、経済産業省「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」の補助事業者に採択され、個人向け「デジタル人材教育・転職支援」をスタートしました。キャリア相談・リスキリング・転職支援を一体的にサポートしていきます。また、近年のテクノロジーの急速な進展により、大学教育も情報教育からデータサイエンス、AI教育、さらにはAGⅠ教育へと進化的に発展しています。技術の進展に伴い、大学もAIが広範に活用されるキャンパスへと進化が必要となります。それは、授業設計そのものにも革新的な変化をもたらすでしょう。現在、私達は大学や企業と連携して、教育の革新の課題に対する解決策を開発する団体を設立する準備を進めています。この取り組みを通じて、大学教育の質を向上する一助となれるように尽力しています。
これまでも、これからも、私達ワークアカデミーは、自分らしく社会で活躍し続けるために、すべての皆さまに「学び」の機会提供を目指していきます。
■株式会社ワークアカデミー
創立40周年特設ページ
https://workacademy.com/40th-anniversary
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