【第11話】『生きた証を残して』〜死に場所を探して11日間歩き続けたら、どんなものよりも大切な宝物を見付けた話〜
冷たいお茶も温かいお茶もある。
もちろんトイレだってある。
韮崎市役所最高!
トイレは貴重だ。
少し栄えた大きな道なら、コンビニのトイレを借りることが出来る。
人の少ない田舎道なら、ちょちょっと影に隠れて用を足すことも出来る。
住宅地と言うのが、一番不便だ。
公共の施設と言うのは、スーパーアウェイの人間にも安心感を与える癒しのスポットだ。
観光ガイドなんかもあって、その土地の情報を知ることが出来るため、何気に便利で面白い。
15分くらい休憩させてもらい、再び歩き出した。
うつ病の特効薬…
どこまでも続く道。
両サイドが畑になり、山に囲まれたその道は、完全に田舎の風景だった。
ただ歩く。
どこまで行っても同じ風景を歩いていると、
「無」
になる。
車で長いこと高速道路を走っている時のように、
マックのポテトを食べ続けている時のように、
「無心」
の状態になる。
「無心」
何も考えないと言うのは、普段の生活ではなかなか難しい。
特に僕は、気が付かなくてもいいことまで気が付いてしまい、
常に人の顔色を伺い、
「相手はどう思っているだろうか?」
「どう思うだろうか?」
「この行動は正しいだろうか?」
と、考えなくてもいいことまでも常に頭の中を巡っていた。
僕はB型だ。
B型と言うと、自己中やワガママ、マイペースと、
あまり世間的に良いイメージを持たれていないことが多い。
未だにB型と言うだけで、明らかに嫌悪感を出す人もいる。
B型はそんなに自己中でワガママだろうか…?
会議など、複数の人と何かを決める時、
話し合いで解決することなど、ほぼ不可能だ。
誰か一人が意見をまとめ、決定をしないと、
いつまで経っても事は解決しない。
だから僕は、周りが思っていそうな事を自ら発言する。
ある人が思っていること、また違うある人が思っていること、
幾つかの意見を発言する。
ここで、何らかの同調や反論が生まれればいいのだが、
多くの場合、責任を逃れるためなのか、ただ興味が無いのか、自分の意見を言わない。
会議などで、明らかに何か思っているのに、発言をしない人は必ずいる。
「出る杭は打たれる」
こう言った風潮がそうさせているのだと思うが、
出る杭が無ければ、平坦なままの、何の代わり映えのしない結果しか生まれない。
なので僕は、周りの反応を見て、
最終的に「これにしよう!」
と提案する。
自ら出る杭になる。
誰かが意見をまとめるのは効率的ではあるが、
意見を出さない人たちにとって、全て一人で勝手に決めているという状況に映るらしい。
だから、いつも自己中やワガママ、マイペースと言われる。
だったら、意見の一つでも言ってみろ!
と言いたくなるが、そう言うと今度は、逆ギレかよ…
と言われ、さらに悪い印象になる。
だから、何も気にしていないようなバカのフリをする。
「出る杭は打たれる」
その出た杭が、自分より劣っていると思えれば、大抵の人は執着しない。
今、自分で言っていて物凄く性格が悪いと思うが、僕はそうやって生きてきた。
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