【第11話】『生きた証を残して』〜死に場所を探して11日間歩き続けたら、どんなものよりも大切な宝物を見付けた話〜

6 / 8 ページ

前話: 【第10話】『ゴールは決めない』〜死に場所を探して11日間歩き続けたら、どんなものよりも大切な宝物を見付けた話〜
次話: 【第12話】『答えを出さなきゃ…』〜死に場所を探して11日間歩き続けたら、どんなものよりも大切な宝物を見付けた話〜

バス停のイスに腰を掛けながら、思った。



僕は、十分休んだ。

休憩は終わりだ。

準備が出来たなら、前へ進もう。

一歩進めば、一歩ゴールに近付くんだから。



僕は、うつ病に甘えていた節がある。


うつ病の肩書きがあれば、無条件に会社を休める。

働いていなくても、

「うつ病なんだから仕方ない」

という理由をつけることが出来た。


家でほぼ寝たきりだった時は、本当に働くことが出来なかったが、

今はもう、毎日20km以上歩くことが出来ている。


人と話すことだって、人に道を聞くことだって出来ている。


僕はもう、十分休んだ。


あとは、前に進む勇気と自信を持つことだ。


せっかくもらった自由なこの時間。


これからの人生のために、

自分の人生のために、

自分自身のために、

価値のある時間にしよう。


新しい自分になる力に変えよう。


そう決めて、バス停を出発した。






何か答えが分かった気がした。



僕はこの旅で変わる。


一分一秒、すべてを力に変える。



そのために出来ること…。




ただ前へ進む。


一歩ずつでいい。


ほんの少しでもいい。


前へ進み続ける。


それだけで僕は変われる。


世界は変わるんだ。





終わらない4日目…


前へ進む。


前へ進み続ける。







すると、道路標識が現れた。


松本まで82km。


松本と言ったら、長野県だ。


僕は確実に前へ進んでいる。


確実に日本海へ近付いている。


嬉しかった。


地図でしか見たことのない地名に、

自分の足で辿り着こうとしていることに、感動した。




しかし、足の痛みが次第に強くなってくる。


「ピキッ」


また右足に激痛が走った。


こうなってしまったら、もう長くは歩けない。



しかし、この周辺に宿は無い。






段々と暗くもなってきた。



「今日は野宿だ。」



著者の坂内 秀洋さんに人生相談を申込む

著者の坂内 秀洋さんにメッセージを送る

メッセージを送る

著者の方だけが読めます

みんなの読んで良かった!

STORYS.JPは、人生のヒントが得られる ライフストーリー共有プラットホームです。