【第17話】『奇跡のおばちゃん』〜死に場所を探して11日間歩き続けたら、どんなものよりも大切な宝物を見付けた話〜
「僕はまた…幸せになれる…?」
涙が止まらなかった。
止めどなく溢れて来た。
僕は、たくさんの人に心配と迷惑を掛けている。
そんな僕にも手を差し伸べてくれる人たちがいる。
「もう無理だ…」と思った時に、いつも頭に浮かんだのはその人たちだった。
その人たちが居てくれるおかげで、僕はここまで歩き続けることが出来た。
「死にたいなんて言って、本当にごめん…」
「死にたいなんて思って、本当にごめん…」
「死のうとして、本当にごめん…」
でも、僕は死ななかったよ。
どんなにツラくても…
どんなに痛くても…
どんなに怖くても…
僕、頑張ったよ。
どんな時も、みんなの存在がいつも僕を助けてくれたんだ。
みんなのおかげで、
僕は今、生きてるよ。
「ありがとう!」
僕は、前に進まなきゃ。
僕はもう、自分にウソはつかない。
今まで多くの人に、7、8割の力で余力を持ってやらないとと言われてきた。
何でも抱え込んでしまう僕は、そんな生き方が出来る人が羨ましいと思う程だった。
でも全力でやらないと、さらなる成長は出来ないと思う。
出来るか出来ないかは、やってみなきゃ分からない。
それなのに、やる前から力を抜いていたら、出来ることも出来なくなってしまう。
僕はこれからも全力でやってみるよ。
バカだって言われても、自分に正直に生きるよ。
それが僕が思う、カッコいい生き方だからさ。
そんで、また恋をして、誰かを好きになって、幸せになろう。
そう思った。
姫川の女神様…
足の痛み、体力、精神力は限界に来ていた。
本当に、今にも倒れてしまいそうだった。
それでも僕が歩き続けられたのは、着実と近付いている街の灯りだった。
確実に近付いているゴールだった。
僕はついに、糸魚川市街地に入った。
セブンイレブンがある。
ここで少し休むことにした。
でも、お店の中には入れなかった。
広い駐車場。
お店に行くまでの力さえ、もう残っていなかった。
歩道の内側にイスを置き、そこでタバコを2本吸った。
「あとどれくらいなんだろう…?」
洞門を出てから、そこで初めて地図を見ようと決めた。
ここまで、残りの距離を知るのが怖かった。
あと◯kmの距離を見て、元気が出る程、力は残っていなかった。
市街地に着き、やっと地図を見る勇気が出た。
GoogleMapでひすいの湯を検索してみる。
850m
気が付けば僕はもう、目的地まで1kmもないところまで来ていた。
さすがにテンションが上がった!
でも、もう足を曲げるのも、伸ばすのも、座っているのも、
立ち上がるのも、立っていることさえも辛かった。
850mという距離が果てしなく遠いものに感じた。
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