【第17話】『奇跡のおばちゃん』〜死に場所を探して11日間歩き続けたら、どんなものよりも大切な宝物を見付けた話〜
あなたの好きな煙草
わたしより好きな煙草
いつだってそばにいたかった
分かりたかった
満たしたかった
プカプカプカプカ
煙が目にしみるよ
苦くて黒く染まるよ
火が消えたからもうダメだ
魔法は解けてしまう
あなたは煙に巻かれて後味サイテイ
真っ白な息が止まる
真っ暗な夜とわたし
いつだってそばにいれたら
変われたかな
マシだったかな
プカプカプカプカ
煙が目に染みても
暗くても夜は明ける
あなたのくれた言葉
正しくて色褪せない
でももういらない
いつだってあなただけだった
嫌わないでよ
忘れないでよ
プカプカプカプカ
煙が雲になって
朝焼け色に染まるよ
byチャットモンチー「染まるよ」
何も手につかない白黒の瞳で
私はただひたすら
there is nothing I can do for you
あの頃の私は
何に感動して
何に満足して
自分を理解していたの?
どこにも行かないで
Please don't go anywhere
1年前に戻りたいなんて
何で今さら思えるかな
あの頃の私は昨日と同じ
今日なんて考えなかった
もうこれ以上行かないで
Please don't go anywhere
目をつぶると歩けないと分かっていたのに
一人つぶってた
目をそらすと進めないと分かっていたのに
一人そらしてた
いつの間にかあなたを傷つけ
思いがけない言葉を発していた
甘えぬき傷つけぬいた私は
今度は何を求めるかな
もうどこにも行かないで
Please don't go anywhere
もうこれ以上行かないで
Please don't go anywhere
もうこれ以上歩けない
もうこれ以上歩けない
もうこれ以上歩けない私は
byチャットモンチー「橙」
ここまで来ても、一番頭に浮かんだのは彼女のことだった。
「強くなりたい!」
そう思って、ここまで歩き続けてきたのは、
自分の為ではなく、彼女の為だったのかもしれない。
こんな僕と出逢ったことを後悔して欲しくなかった。
僕と過ごした3年間をムダだったと思わせたくなかった。
彼女は、僕との将来が不安だと言った。
うつ病になった人は、治らない。
同じことを繰り返すと言った。
そんな彼女に、僕は違う!ということを証明したかった。
僕は、違うんだ!
本当は凄い人間なんだ!
うつ病さえも倒してしまう強い人間なんだ!
そう証明したかった。
しかし、もう彼女が戻ってくることはないだろう…。
「僕はこの旅で何を得た…?」
「僕は変わったかな…?」
「強くなったかな…?」
「僕は…ここに居てもいいのかな…?」
「僕は…生きてもいいのかな…?」
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