◼️ハネムーンで世界各地の観光名所をドレス姿の嫁を連れて巡った話◼️

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ナポリ駅前はクラクションの大合唱で、路上ではちょい悪いオヤジたちが酒飲みながら賭博をしている。さらに街は人通りも少なく、路地裏ではひったくり被害が多発している。

街には怖そうな人もたくさん歩いていた

不思議なのは日本と同じように南の方の人は、顔の掘りが深くて目鼻がしっかりしているのが

ナポリ人の特徴だ。


暗いイメージばかりのナポリにも、世界的に有名な美味しい食べ物がある。

それは古くから受け継がれてきた伝統の味、ナポリピッツアだ。



僕らはかけ足で街中を歩き、ピッチェリアに駆け込んだ。

モチモチした生地にトロトロなモッツァレラチーズ。臭みのない甘いトマトとガーリックの風味。

最高に美味しいピッツァを堪能した

バジリコの緑、トマトソースの赤、モッツァレラチーズの白でイタリアの国旗を表しているようだ

本当に美味しいモノを食べると

幸せな気分になるのが人間の本能だ。


幸せな気分になった後にナポリ漁港に向かった。

僕らの本来の目的であるカプリ島にいくのだ。


高速ジェット船に揺られること20分。

カプリ島到着。

白い建物が多く並び、地中海もエメラルドグリーンで綺麗な色をしている

天気も真っ青な晴天でこれほど空の広さを感じたことはない。

日本人のハネムーンの定番でもあるカプリ島だ。


そんな愛溢れるこの島に

僕は過去に1人で来たことがある。

留学後に1人でイタリアを巡った時に

「いつか彼女と来るだろう」と下見にきたのだ。

1人でフェリーに乗り、リフト乗って山の頂上の曇り空の中に突っ込んだ。

色んな意味で想い出ある島だ

島内には、すべて白い建物で出来たエルメス、ヴィトン、グッチなどハイブランドショップがたくさん並んでいたり、花や貝殻など海のモチーフを使った可愛いアクセサリー、ジュエリーショップも多く存在する

可愛いものに目がない女子なら死ぬまでに1度は行って欲しい島だ。



そこで僕らは、とある人と会う約束をしていた。

WEBであらかじめ予約していたイタリア人のプロカメラマンだ。

さらに日本人のアテンド付きが通訳兼ドレス、タキシードを持ってきてくれるサービスだ


カプリ島に到着した翌日の朝

僕らが泊っているホテルに日本人のアテンドの女性が汗だくになりながら

重たいスーツケースを引きずりながら運んでくれた。

そのスーツケースの中から出てきたのは

胸元にクリアスタッズのような装飾がついた少し個性的な純白のドレスだ

きっと彼女はこのドレスが似合うだろうと心の中で思った。


僕は別部屋で白いタキシードに着替え少し照れながらも、彼女の着替えを待った。


部屋の扉を開けるそこには

今まで見たことのない純白ドレスに身を包んだ美しい彼女の姿だ


2人の着替えの準備も終わり、いつでも撮影に行ける。


しかし、まだ来ないのだ。

イタリア人のカメラマンが。。


アテンドの女性が電話で確認したら、少し遅れるとの事。

イタリア人は時間にルーズで陽気でナンパ好きでお喋り上手というのが

日本人のイメージだと思うが、まさにそのままだ。

約1時間ほど待って彼はやってきた。


彼の名はカメラマンの「ルイージ」

背は165センチくらい、少し小太りで年齢は30半ばくらいだろうか。 

ブライダルフォトを撮るという事で気を使ったのか。

白いジャケットにインナーはストライプシャツ

白のパンツと白の靴、少し小洒落た感じの格好で彼はやってきた。

近所に住む陽気なお兄さんという感じだ。


「わりぃー、わりぃー。遅れちゃって。とてもドレス似合ってて美しいねぇー!

さっ、撮影に行こうか!」


みたいな軽いノリで僕らの撮影が始まった。

遅刻の事なんて全く気にならなかった。

許せれる気持ちになるのがルイージの人柄なんだろう。


「ベーネ!ベーネ!ベーネ!」

(いいね!いいね!いいね!)


ルイージの声が飛び交った。

まずはホテル内で撮影して、それから僕らは外の世界に飛び出した。


道に咲く名前も知らない花や、

何もない公園などでも撮影をした

どんな撮影でも本当にルイージは楽しそうにシャッターを向けてきた。


ルイージは僕らを笑わすのがとても上手だった。

「アンディアーモって日本語なんていうの?」

と聞いてきた。

「行きましょう」

と言うんだよと僕は伝えた。

ルイージは1つの場所で撮影を終えて次に移動するたびに日本語の

「イキマショウ!」

と言いたかったのだ。


ルイージはその言葉を覚えたら、すごく嬉しそうだった。


しかし、残念ながら

「イキマショウ!」という言葉よりも、

「アンディアーモって日本語で何て言うんだっけ?」

という言葉をルイージはたくさん聞いてきたのだ。


全然、言葉を覚える事が出来ないルイージ。

何回も何回も

「アンディアーモって日本語で何て言うんだっけ??」

と聞いてきて

逆に彼女がイタリア語の「アンディアーモ」という言葉を覚えてしまったくらいだ。

ひょっとしたら、これも場を和ませる為のルイージのジョークだったのかもしれない。


「じゃあこれからカプリ島で1番高いソラーロ山の頂上で撮影しよう!」

という僕らを誘導してきた。

ソラーロ山の頂上に行くには、1人乗り用の小さなリフトに乗って行くしかない。

彼女はドレス姿なのにリフトなんかに乗って大丈夫か?!と、

思いながらも面白そうなので

ま、ルイージについて行こう。となった。

ルイージは

「俺に任せとけ!リフトの人たち友達なんだ。チケットは要らない。タダ乗り出来るぜ!」

さすがカプリ島出身のルイージ。

どうやらこの島では結構、顔が効くらしい。

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