【最終話】『僕の宝物』〜死に場所を探して11日間歩き続けたら、どんなものよりも大切な宝物を見付けた話〜

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「急いで下さい!!」


駅員さんにそう言われた。


めちゃくちゃ焦った。


身体全身が痛過ぎる…。


人間は不思議だ。


本当にピンチになると、想像以上の力が出る。


僕はアスリート級のスピードで、ホームを走り抜け、

階段を駆け上がり、反対ホームへ行く通路を猛ダッシュし、

そして、駆け下りた。


電車はホームの先頭、また駆け抜ける。


自分でも驚くほどのスピードだった。


やれば出来るもんだ!笑


電車には間一髪間に合った。


JR大糸線


1両編成の小さな電車。


誰も乗っていないだろうと思っていた車内には、

登山の格好をした人たちが結構乗っていた。


僕は、一番前の一番端の席に座った。


僕の通って来た道は、この大糸線が並行して走っている。


自分が通って来た道を、この目で見ておきたかった。



10時43分、電車が動き出す。





糸魚川市街を通り過ぎ、姫川渓谷に入る。



こんなとこよく電車を通したな…



と思うほど、崖の中を走る。


人間はスゴイよ!


そして、死ぬかと思った地獄の洞門群が現れた。







「本当にあんなとこ歩いたのかよ…」



見るだけでゾッとするくらい、ずーっと続いていた。


自分に引いた…。


でも、朝の洞門は美しかった。


窓から見えるすべての景色がとても美しかった。


昨日は何も見えなかった。


こんなに美しい景色が広がっているなんて…


「すげぇことしたんだな。」


そう思った。






さらに電車は進み続ける。


ゴールだったところから、どんどん離れていく。


昨日歩いていた道から、一昨日歩いていた道へ…


驚くほどのスピードで過ぎ去って行く。




白馬駅…


トイレを貸してくれたおばちゃんの店…


美しかった青木湖、木崎湖…


七倉荘のある信濃大町…


あそこで、おっちゃんに声掛けられたんだった…




まだ新しい記憶たちが頭の中で巻き戻った。


「本当に色んなことがあったな…」


窓を流れる景色を見ながら、

これまでの道のりを、

色褪せさせぬよう、噛みしめるように振り返った。


複雑な気分だった。

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